統失ニートの再受験日記

大体は海水魚について書きます。統失ですが、医学部再受験しようと思います。

バックウォール制作2

一日おいて、板状のバックウォールが完成しました。

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表面の凸凹は、この前セメントが固まる前に、つけておきました。なんとなくその方がいいかなと思って…

 

しかし、聞いた話によれば、このバックウォールはまだ使えません。なぜなら、セメントから溶け出すアルカリ金属により、水のphを著しく上げてしまうらしいのです。そうすると魚やサンゴは最悪全滅し、水槽崩壊という事態にもなりかねません。

なので、通常はこうしたセメントで自作した、ライブロックやバックウォールを使うときには、あく抜きという作業が必要になってくるわけです。

 

今日はバックウォールを化学します。

 

あく抜きについて、色々考えてみました。

まず、一般的なセメントの成分比はだいたい…

 CaO : 65 %

 SiO2 : 22 %

 Al2O3 : 5 %

 Fe2O2 : 3 %

 …

らしいです。この中で、水に溶けだして、アルカリ性を示すのは、CaOとFe2O2ですが、この場合、Fe2O2は微量なので無視していいでしょう。CaOは水と反応して、

  CaO + H2O  → Ca(OH)2

となり、アルカリ金属のCaが水中に溶けて、アルカリ性になってしまう。というのが、pHを上げる原理となります。

ということで、邪魔者であるCaの溶解量をいかに減らすかというのが、ここでの課題になります。手元にある、照井俊の無機化学によれば、アルカリイオンCaと反応して、固体になるのは、

 炭酸イオンCO3

 硫酸イオンSO4

 シュウ酸イオンC2O4

らしいです(面倒なのでイオンの価数は記述してません)。つまり、これらイオンを利用して、Caを固体にすることができれば、水中へのCaの溶解を防ぐことができます。硫酸とシュウ酸は手に入りずらいので、今回は、炭酸イオンを採用したいと思います。

 

炭酸イオンについて考えてみます。Caの化合物とCO2の様々な反応は…

セメントは空気中で

 CaO + CO2 → CaCO3

CaCO3は、難溶性の固体で水に溶けにくいが、水中で二酸化炭素CO2と反応して…

 CaCO3 + CO2 + H2O → Ca(HCO3)2

炭酸水素塩となり、再びCaイオンを水中に放出する。

 

どういうことかというと、空気中で、バックウォールを二酸化炭素と反応させると、アルカリ金属Caが水に溶けにくい炭酸塩CaCO3を表面に作るが、この後、これを水中にいれてCO2と出会うと、可溶性の炭酸水素塩Ca(HCO3)2となり、やはりCaを放出し始める…

 

…むーん…

 

次、水の中で炭酸塩CO2と反応させた場合、

先ほど書いたように、バックウォール表面からアルカリ金属Caが溶解します。

 CaO + H2O → Ca(OH)2

これを二酸化炭素と反応させると…

 Ca(OH)2 + CO2 → CaCO3 + H2O

やっぱり、難溶性のCaCO3が発生します。

空気中にCO2と反応させたときの違いは、空気中で反応させた場合はバックウォール表面にCaCO3膜を作るのに対し、水中で反応させた場合は溶けたCaが水中でCaCO3沈殿を形成するというとこでしょうか。

水中のCaCO3は、やはり水中で二酸化炭素CO2と反応して…

  CaCO3 + CO2 + H2O → Ca(HCO3)2

となり、水中にアルカリ金属Caを放出します。

 

なーるなるー

 

ということで、私の出した結論は…

 空気中で二酸化炭素と反応させてバックウォール表面にCaCO3被膜を作ろう!

です。水中でCO2と出会うと再びアルカリ金属を放出してしまう危険性はありますが、今のところカルシウムリアクターとか使う予定ないですし…私の水槽では、まーいいかなー。

どうして、水中で二酸化炭素と反応させてのCaの除去を却下したかと言いますと、水中で二酸化炭素と反応させた場合、バックウォール表面のCaOは溶けて最終的に

Ca(HCO3)2になります。しかし、Ca除去のために何度も水替えをしたりしても、再びバックウォール新しい表面からCaOが溶けだすので、何度水替えをしてもイタチごっこになってしまうと考えたからです。

 

つづいて、二酸化炭素の入手方法について考えます。

まず一つ目は、ショップ等で売っているCO2ボンベ。こちらは、チャームで399円で入手できます。一本当たり、74gのCO2が入っています。CO2の原子量が44なので、一本当たり、約1.68molのCO2が入っています。解りやすく体積に直すと…

 1.68 × 22.4 = 37.7 [litter]

のCO2が手に入ります。20リットルポリタンク2本に少し満たないくらいですね。中々いいんじゃないでしょうか。問題は、水草用ボンベから一気にCO2を放出することができるかどうかというところです。

二つ目は、クエン酸重曹を用いた方法です。

クエン酸の溶解度(20℃)は、73です。重曹(炭酸水素ナトリウム、20℃)の溶解度は9.6です。一方、クエン酸と炭酸水素ナトリウムの反応は分かりやすく構造式にすると…

            CH2ーCOOH                                          CH2ーCOONa

             |                                                               |

 HOーCーCOOH + 3NaHCO3 → HOーCーCOONa + 3CO2 + 3H2O

             |                                                               |

     CH2ーCOOH                                          CH2ーCOONa

ということで、クエン酸1モルに対して重曹3モルが必要です。重さに直すと…

クエン酸192gに対して、重曹(炭酸水素ナトリウム)252gが必要です。このとき発生するCO2は3モルですが、水溶液に溶け込むCO2を除外しますと(空気中に放出されるCO2がセメントと反応する)、CO2の水への溶解度は100gあたり0.145gなので、

 3 - 0.145 / 44 =  2.997 [mol]

ほとんど溶けないですね。水への溶解度は無視できそうです。すなわち、クエン酸1モルと重曹3モルを反応させると、CO2が132g、体積に直すと、3×22.4=67.2[litter]得られるそうです。

 

少し難しくなりますが、逆算していきます。CO2ボンベ一本と同じ37.7リットルのCO2を得たい場合、約1.68モルのCO2が必要になります。必要なクエン酸と、重曹はそれぞれ108gと141gが必要になります。

それぞれの溶解度(73、9.6)から、水温20℃の場合、クエン酸は水148g用意すれば大丈夫です。しかし、重曹の溶解度は9.6なので、

 141 ÷ 9.6 × 100 = 1469

すなわち1469gの水が必要になります。

まとめると、CO2ボンベ一本のCO2を得るには、水約1.5リットルを用意して、重曹を目いっぱい限界(141g)まで溶かし、そのときクエン酸は(108g)必要。ということになります。

 

ま、どちらも良さそうですね。明日近所のショップに行って、CO2ボンベの使い勝手を聞いてみます。